10年前のこと
1995年ごろのわたし、10歳前後で、パパとママに甘えていたことは、今と同じ。

わたしは
クッキーです。名前はどうでもいいんだけど、パパにいわせると‘いい名前’なんですって。お菓子のクッキーじゃなくて、もっと深い意味がある。
英語で 「何してるの?」というとき、"What's cooking?"というでしょ、それからとっているんです。
わたしは何処でどう生まれたのか知らないけど、生まれてすぐ、この家に来ることになった。
1985年の夏のこと。「体の長さが12センチで手のヒラに乗ったんだよ」 とパパ。昔から猫が好きだったパパは喜んだけれど、ママのほうは猫を飼ったことがな くて、どうしていいか、分からなかったらしい。でも、それはそのときだけ。今はママもわたしのことを本当に心から可愛がってくれている。 「私、もしクッキーがいなくなったらって、そのことを考えるだけで涙が出てくるのよ」って、ママは言う。もうだいぶ前のことだけど、ノラ猫に追いかけられて 近所の二階の屋根まで逃げていって降りられなくなったことがあるの。わたしは屋根の軒下で一夜を明かしたんだけど、次の日の朝、暗いうちにパパとママが探しに来てくれた。「クッキー、クッキー」って呼びながら。
一生のうちでこんなに嬉しかったことはなかった。
それから、一生のうちで一番怖かったことは、うちの前の道で車にはねられたこと。
わたしが道を隔てた向かいの庭で遊んでいたとき、「クッキー」とパパの呼ぶ声に夢中で飛び出してしまって、走ってきた車にはねられた。体がしびれて頭が真っ白になって何が起こったのが分からなかった。パパとママは、すぐ病院へ連れて行ってくれた。その後遺症で右足の神経が利かなくなったけど、生きていてよかった。
「クッキーは、あ行の魚が好きだよね」とパパは言う。そう。あゆ、いか、
うなぎ、 えび、おこぜ。それからペットフードはフィリピン製のまぐろ白身がおいしいな。嫌いな魚は、さけとさんま。時々、わたしは無性に‘狩り’をしたくなるときがある。スズメ、トカゲ、それからヤモリ。くわえてきて追っかけ回していると、ママが必ず「クッキー、やめなさい!」 というの。でも、そうはいかないの。「猫は狩りが本能」。知ってる?獲物 がいないときは、自分のシッポでもいいんだから。
朝起きたときも、外から帰ってきたときも、パパもママもわたしの名前を呼ぶ。ちょっと、うっとうしいこともあるけど、そんな時わたしは、ここで二人に会えて よかったなあ、って思う。
で、わたしも真似して、外から部屋に入ったとき、必ず大きな声で「ニャーオ!」と呼びかけることにしているの。
これからも3人で仲良く暮らして行きたいニャー。
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